Emotional Incest
今読んでいる本 "The Emotional Incest Syndrome: What to do When a Parent's Love Rules Your Life" (Dr. Patricia Love, 1991) から『構造派家族療法』を初めて知りました。
今読んでいる本:
家族の問題には解決法があるらしい
家族療法とは比較的新しいセラピーの分野なのだそうです。家族療法 - Wikipedia
それによると、家族というものは、ちゃんとした枠組みのある「システム」として機能するものらしいんですね。
家族のシステムが近年明らかになり、それに伴って、「家族が抱える問題」も、定義できるようになったそうなんです。
「家族が抱える問題」が、くっきり・はっきり定義できちゃった以上、それらの問題をシステマチックに解決する方法もちゃんと編み出されていますよ、ということなんですって。
本書は、これまで名前のなかった「Emotional Incest(肉体的関係の伴わない近親姦、とでも訳せばよいでしょうか?)」という、家族内で起こる現象について詳しく解説しています。
Emotional Incest 家庭の子供が抱える問題
Emotional Incest とは、親が、自身の伴侶を頼る代わりに子供に精神的に依存する子育てのスタイルだそうです。Emotional Incestに陥る家庭は驚く程多いにもかかわらず、これまで認識されてこなかったのだそうです。
親に依存された子供は、自分のニーズを抑えて、親のニーズを満たすことに懸命にならざるを得ず、親と子の立場が逆転してしまいます。この場合、子は適切な保護、指導、必要な秩序を与えられることなく、年齢に不相応な経験をさせられます。
Emotional Incestにさらされた子は、成長するにに従って以下の問題を抱えるようになるそうです:
日本では知られているのだろうか?
これまで(といっても本書は1991年出版ですが)は、"Emotional Incest" という言葉がなく、「なんかおかしい」「変だ」「いやだ」と、主に子供サイドが思っていても、一体何がおかしい・変・いやなのか、表す言葉がなかったわけです。
けれども、今や、問題を定義する名称、そしてそれを解決する体系的な方法が、家族療法では確立されている……らしい。
らしい、というのは、日本でどのくらい定着しているのか?が、私にはわからないからです。本書の日本語訳すらないみたいですし、「肉体的関係の伴わない近親姦」という概念、日本ではどれくらい知られているのでしょうか?
知らなかったのは私だけかもしれませんが、私は本書を読んで、はじめてEmotional Incestの概念に触れました。そして、自分の生家の問題の核心はコレだったんだ!と確信しました。
日本でもこの概念が広まって、問題を解決できる家族が増えれば、とてもいいのではないかなぁ、と思う次第です。
Emotional Incestがただでさえ多い土壌の日本で、苦しんでいる子供や元・子供にとって、この概念がどれだけ救いになるか、想像に難くありません。
「健全な家族」と「Emotional Incest家族」の違いにびっくり
なお本書には、健全な家族とEmotional Incestに陥っている家族がどのように違うか、比較ものっています。
健全な家族のあり方を読んで、私はものすごく驚きました。これまで健全な家族がどういうものか、自分は一切知らなかったんだなぁ、と今さらですが気づきました。そして、自分の家族がいかに不健全で機能不全だったか、しみじみ思い知ったのです。
家族の問題を抱えてらっしゃる方にはぜひご一読をおすすめします。
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