生活保護を利用させてもらっていて、未だによくわからないもののひとつに「医療券」があります。
生活保護の申請をするために福祉事務所に行ったときに、国民健康保険証を提出せねばなりませんでした。
「生活保護になると、保険証は持てませんからね~」
福祉事務所の職員さんは私の手から保険証を受け取ると、そのまま持ち去ってゆきました。
「あっ……あばばばばば!」
私は保険証を自分で持てないと改めて知り、焦りのあまり意味不明な音しか発することができませんでした。
保険証がないって、なにこの丸腰感!
なんか、丸腰で世間に存在してるみたいな、すっごく不安なかんじ!
パンツ履かずに外出してるみたい!
かつては保険証を入れていたけれど今や空っぽになった財布のポケットを、じっと見つめました。
生活保護受給者は、保険証ではなく、「医療券」というものを使って、病院にかかるのです。
<つづく>