『少年は残酷な弓を射る』別のシーンの感想を言わせて下さい(^o^)/。
●おそらく妊婦ヨガのクラス。まんまるなお腹の女性たちの中でいたたまれず出た妊娠中のエヴァ。廊下でピンクのレオタードを着た少女たちの群れが笑いながら追い抜くシーンの感想です!
●かわいらしい少女たちに囲まれたエヴァが、ただ歩く。なんでもない、ほほえましい状況。怖いことはなにも起こっていないのに「残酷だなあ」と思いました。
自分も女性なので思うのですが、エヴァがそのとき感じたのは
「自分は妊娠して少女らしい体を失ってしまった」
という絶望、恐怖、焦りでは。
そして、全てエヴァ視点のこの映画、トマトもペンキも赤いろうそくもりんごもケチャップもぜ~んぶ、同じに見えるのは、エヴァにとって食べ物や太ること、つまり成熟した女性の体に成長することが恐怖の対象だからかもしれない。
●「デブはいつでも食べてる。『代謝が悪いから』なんて言うけど嘘よ、いつ何時でも太るものばかり食べるからデブなのよ!」
といきなりエヴァがデブ批判をし、クソガキケヴィンでさえも
「あんた、なんでそんなきついんだよ?」
と驚くシーン、すごく気になります。
だってエヴァの夫のフランクリン、太りぎみじゃないですかね!? アメリカ基準でいえば普通体型かな? でも中年らしいリアリティ溢れる体型であることは確かで、子供を2人産んでもなお人形のような体型のエヴァとは正反対。
けれどそのことにエヴァは全く意識がいっておらず、あくまでも
「フランクリンのことは愛してる、ケヴィンは怖い」
という視点で映画がすすむのが私には怖かったです。
●ケヴィンはエヴァの鏡で、彼女が自分でも気づかない無意識の願望を行動に起こしているだけのような気がします。
エヴァが本当に不満をもっていたのは夫に対して。なのに何も言わず代わりにケヴィンを悪魔扱いした、それが悲劇を生んだんじゃないかなぁ。
●だからこそラストで、ケヴィンが
「なんであんなことしたのか、わかんなくなった」
と言ったのは希望だと思いました。もうエヴァの無意識からの
「コ ロ セ」
という電波を受け取ってないということだと思うから。
前回はこちら↓
『少年は残酷な弓を射る』大人になりきれないまま子供をもってしまった女性の成長譚 - 大和彩_Aya Yamato