毒母は言う「なんで電車で携帯使っちゃいけないのよ!」

電話と毒母というテーマで、思い出されるネタはいまのところ

 

①「国際電話で銀行預金の暗証番号を教えろと毒母に脅されて、夏」

②「なんで電車で携帯使っちゃいけないのよ!」と毒母に罵られる、冬」

 

この2つです。
ネット見てたら、
「電車の中で電話してもいいじゃん」
「海外ではみんなそうしてる」
といった意見を目にした。だから、②について書いてみる。

 

 

祖父がなくなった。
私は、生家から、母と一緒に電車⇒飛行機⇒電車というルートで、祖父の通夜に向かった。

 

 

大学入学と同時に実家を離れ、疎遠だったので、母と公共の乗り物にのるのは、10年以上ぶりだった。

 

その10年の間になにがあったかというと、携帯電話の急速な普及である。

母でさえ、携帯電話を持つ世の中になり、私は初めて知ることになる。
己の母親の、携帯電話の公共マナーのひどさに。

 

電車に乗っていると、母の電話に着信があった。
母はマナーモードになんて、当然していない。

 

 

「あ、今電車だから、切るね」
と言って切るのかと思いや
「ああ~私今電車でどこそこに向かってるのよ!!~べらべらべらべら!!」
と大声で話し出すので、私は度胆を抜かれた。

 

何年も電車に乗っていたけど、ここまで大声で、長時間、電話をする人は初めて目撃した。

しかも、その人は、私の実母。

 

 

母は耳が遠くなっており、とんでもない大声で、電話で話し続けた。

最初の通話が終わると、今度は自分から電話をかけ始めた。

何件も、何件も。立て続けに、大声で。

 

 

会話の合間に、私はなんども

「やめてください、迷惑だし、みんなみてる。マナーが悪すぎるよ」

と注意した。

すると母はきっと私をにらみ
「みんな電話してるじゃない!!別にいいのよ!」
と怒鳴り、また電話をかけ始める。

 

悪夢だった。実の母親じゃなくても、苦痛なレベルの騒音だし、経験したことのないようなマナーのひどさだ。
なぜこんな日本でも一、二を争うレベルでマナーの悪い人が、私の実の母親なのか。

 

 

制服を着た女子高生が、不思議そうな顔をして、通話を続ける私の母を見ていた。

恥ずかしかった。

 

 

私は、せめて同行者ということがバレないよう、しゃべり続ける母を残し、そぉ~っと別の車両に移った。

 

 

何度注意しても、やめてくれないなら、その場を離れるしかない。
不快な環境から自分を救い出せるのは、自分しかいない……。
そう思って、別の車両に逃げた。

 

 

そうしたら、毒母、追ってきやがった!

 別の車両に逃げる私の後を、にやにや笑いながら、小走りで追いかけてくる。

『ジョーズ』のテーマが聞こる。

 

さらには、名前まで呼びやがった!!

「ちょっと!!歯グキ!!待ちなさい!!あ~ごめんね、それでね、べらべらべらべら!!」

と、通話相手との会話も、絶賛、続行中である。
目の前が真っ暗になる思いだった。

 

電話を耳元でぎっとにぎりしめたまま、
「歯グキ!ちょっと!こっち!こっちに座りなさい!!」

と大きな身振りで、私を自分の隣に座らせようと、ぶっとい腕をぶるん、と振る、毒母。

 

 

私は、どこまでも違う車両に移動しつづけた。どこまでも……どこまでも……。

 

 

この地獄の携帯電話行脚は、祖父の通夜が行われる地に着くまで続き、そして、帰り道でも、同じことが繰り返されたのだった。

 

 

帰り道の空港で、満を持して私は、公共の場で毒母を怒鳴りつけた。
「みんな我慢してるのに!!何時間話せば気が済むのよ!やめて、って何度お願いしたと思ってるの!!みんな迷惑してるんだよ!!」
すると、母はすっとぼけた顔で言った。
「えっ、聞こえてないと思ってた」

 

 

 

 

私はその日、二度と、毒母と一緒に公共の乗り物には乗らない、と自分に誓った。
そして、「毒母と一緒に○○しない」という自分への誓いは、それ以降、どんどん増えていくのでした。

 

 

 

 

 

「海外ではみんなそうしてる」から日本でもそうしてもいいじゃん。

っていう論調は、すごく危険だと思いますよ~~~。毒母の論理とおなじだよ☆