私は今Gorilla Bunniesというサークル名で同人誌を作っているのですが、その過程で先日、同性愛差別にあいました。
このエントリではその出来事について書きます。
女性2人お断り! なラブホ
今がんばって作っている『子宮にちんぽが届くまで』の表紙撮影のため、編集Mさまと時間制でお部屋を貸してくれる、通称ラブホテルという場所に行きました。
こういうホテルには各部屋の内装を写真に撮った一覧パネルが置いてあります。しかし、わたしにとって一番気がかりなのは内装よりもお値段でした。ものづくりというのは意外なところで製作費が発生します。そう、表紙撮影のためのラブホ代のようなところに。
「どの部屋にします?」
「一番安いとこで!」
パネルを前に協議する我々に、無人に見えた受付カウンターから鋭い一声が飛んできました。
「女性2人の使用はできませんよ!!」
叱責するような、咎めるようなトーンでした。
まず湧き上がる「ズルい」という思い
その瞬間沸き上がったのは「ずるい」という思いでした。受付カウンターにはブラックミラーが仕込んであります。こちらからは誰が言っているのか見えないのにあちらからはこちらの姿は丸見え、という情報の非対称性。あちらは安全圏からこちらをいくらでも断罪し放題なのです。
私は従業員の姿がみえないことを批判しているのではありません。これは通常ラブホテルの従業員を守るために機能するためのものとして必要なものなのでしょう。
ただ、自然な感情の流れとしてそう思った、というだけのことです。
差別感情で運営されるビジネス
次に思ったのは、「わたしたち、ちゃんとお金も払うし、これまでなにも悪いことしてないし、部屋でも悪さしないのに、どうして入れてもらえないんだろう?」ということでした。
支払いもするし部屋も綺麗に使うであろう客を門前払いする。その理由が「女性2人だから」という部分がどうしても論理的に理解できません。
もしわたしが、道端でどこぞの男性をナイフで脅し、ホテルに連れ込んだとしましょう。ホテル側は問題ナシ! とみなして客として受け入れてくれるのです。「男と女の組み合わせだから」という理由だけで。これも論理的に理解できません。
いくらお金を払おうがあなたはお客として認めないし、この施設を利用させません。だってあなたは同性愛者にちがいないから。
これは、あなたは肌の色が黒いから、とか、出身地がどこそこだから、などの理由でこの施設を利用できません、とするのと同じです。
要するに、論理的な理由などない、ただの差別感情でビジネスが運営されているのです。愚かなことだと思います。
『さようなら、オレンジ(岩城けい)』
このあいだ読んだ本の中に印象的な一説があったので引用します。
イタンジと呼ばれて逃げ出すには若すぎる、やってみたいことがいっぱいあるくせに。……あたりまえをあんなに欲しがっていたのに、ちっとも幸せそうに見えないじゃないか。自分がもともと持っていたものをあきらめて、ごまかして、黙り込んで。
イタンジ、なんて言いがかりをあたしは認めない。あたしは違う、あたしだけはあきらめない。……あんたたちがあきらめてしまっても、あたしだけはあきらめない。あたりまえのことばかりをやらされてこの土地の人間らしく矯正されても、このあたしの心までひん曲げることなんかできない。
『さようなら、オレンジ(岩城けい)』pp.92-93より
人のことを外見で「異端児イタンジ」と決め付けて、感情で差別して、一体、誰が幸せになるというのでしょう。わたしはこの件で精神的ダメージを受けましたがそれ以上に恥ずかしいと思いました。「こんな国でごめんなさい」と。
2020のオリンピックで日本のOMOTENASHIを☆
さかんに喧伝されているけれど、ちゃんちゃらおかしいですね。どうせ表面的なもてなしのことしか考えてないんだから。
ほんとうのおもてなしとは、こういう理不尽な差別をなくすよう意識的に努力してお客さんを受け入れることじゃないでしょうか。同国人に対してできないことを海外の人に対してできるわけがない。そう思いました。
ご支援受付締め切りまであと3日
この同人誌の製作費のご支援、今月いっぱいまで受け付けております。どうぞよろしくおねがいいたします。
https://polca.jp/projects/HKWssYLnEdZ
ポルカでうまく入金できない方のためにアマゾンウィッシュリストも公開しました。
ご支援いただいた金額は、わたしの生活費にはなりません。すべて製作費に回します。
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追記:体調わるい
急に寒くなって体調が激烈に悪くなりました。ずっとカイロとホットマットを下腹部とお尻にあてていないと全身が痛くなるし、ちょっと動くにも体がだるいです。
子宮を取ってだいぶよくはなったけど、お腹の中には病変がまだ残っていて、気温の変化などで痛んだりするので難儀です。
文句言ってるわけではありませんけどね。手術前はこれが毎日だった。それにくらべれば、全然今のほうが楽なので。
そして、明日は胃カメラに行ってきます。怖いよ~。