両親を買い換えよう!(シェル・シルヴァスタイン)

シェル・シルヴァスタイン

「みんなーシェル・シルヴァスタインのこと好きー?」

シルヴァスタインは英語圏国のちびっこから絶大な支持を誇る詩人です。
某国の80年代における小学生の詩の勉強には欠かせない存在でした。
当時はシルヴァスタインの名前を知らない小学生はいないというほど、
彼はその名を轟かせていたものです(現代ではどうなんでしょう?)。

なぜって?それは、シルヴァスタインの詩が面白いから。

小学校で詩について勉強しましたよね?けど、「詩って、なんかつまんない……」
って思いませんでしたか。筆者は無学なので、そう思ってました。
だって意味わかんないんだもん!

けど、シルヴァスタインの詩は違う。
先生がシルヴァスタインの詩を教室で読んでくれるときは、居眠りしてた子も
目を輝かせて聞き入ってました。シルヴァスタインの詩が紹介されると、
必ず教室が爆笑の渦に包まれました。

この人の詩に触れたおかげで、
「詩には面白いものもあるんだな。ああいう風におもしろく書いてもいいんだ。」
と気づくことができました。

 

両親を買い換えよう!

筆者が年に数回思い出すシルヴァスタインの詩に『Clarence』
(『屋根裏の明かり』(シェル・シルヴァスタイン)に収録)があります。

Clarenceという名の、テレビ通販が大好きな男の子が主人公です。
彼は何でもテレビ通販で買うのが趣味なんです。で、
古くなってしまって嫌なことばかりしてくる両親も
テレビ通販に出品されていた新型に買い換えた、という内容。

古くてエラーばっかり起こしてる両親は捨てて、
改良されたの新しいのに買い換えよう!

ということです。要するに両親を新発売の上位機種に機種変更しよう、と。
まぁ万人受けはしないであろう内容です。

毒まみれの筆者でさえ大人になって読んでみると、「ヒヤヒヤしてしまう内容だな」
と思わなくもない内容でもあります。

f:id:haguki_lovey:20140820132809j:plainf:id:haguki_lovey:20140820132814j:plain

 郵便で届いた「新しい両親」を大喜びで迎えるクラランス君(『A Light in the Attic』より)

 

小学生の気持ちに寄り添った詩

けれど、この大人ウケしなさそうな内容が、小学生だった筆者にとっては
本当に救いだったんですね。

小学生時代の筆者は、両親からのToxin・オーバードース
毎日を送っていました。そんな日々の中、この詩を見つけたときは、
とても嬉しかった。

「こんな風に思ってもいいんだ!私は一人じゃなかった!
私と同じように考えてる人がいるんだ!」

新鮮な空気をもらえたような、ほんの少し息をするのがラクになった
気がしました。

それ以降の人生において、筆者は折に触れてこの詩を思い出しては
心の支えにしてきた気がします。

 

母親にこの詩を読んで聞かせてみた小学校時代

ところでこの詩を読んだ頃の筆者は、両親との関係にちいさな胸を痛めていました。

「ひょっとしたら、私の気持ちが分かってもらえるかもしれない!」
ちいさな脳みそで考えた当時の筆者は、なんと、この詩を母親に読んで
聞かせたのでした。

母親は、無言でした。

その後、両親との関係が改善することは、特にありませんでした。 

 

屋根裏の明かり

Amazon.co.jp: 屋根裏の明かり: シェル・シルヴァスタイン, 倉橋 由美子, Shel Silverstein: 本

 

Clarence (Shel Silverstein)

Clarence Lee from Tennessee
Loved the commercials he saw on TV.
He watched with wide believing eyes
And bought everything they advertised --
Cream to make his skin feel better
Spray to make his hair look wetter
Bleach to make his white things whiter
Stylish jeans that fit much tighter.
Toothpaste for his cavities,
Powder for his doggie's fleas,
Purple mouthwash for his breath,
Deodorant to stop his sweat.
He bought each cereal they presented,
Bought each game that they invented.
Then one day he looked and saw
'A brand-new Maw, a better Paw!
New, improved in every way --
Hurry, order yours today!'
So, of course, our little Clarence
Sent off for two brand-new parents.
The new ones came in the morning mail,
The old ones he sold at a garage sale.
And now they all are doing fine:
His new folks treat him sweet and kind,
His old ones work in an old coal mine.
So if your Maw and Paw are mean,
And make you eat your lima beans
And make you wash and make you wait
And never let you stay up late
And scream and scold and preach and pout,
That simply means they're wearing out.
So send off for two brand-new parents
And you'll be happy as little Clarence.

 

関連エントリ

『クラランス』(シェル・シルヴァスタイン) - 大和彩ブログ

『まがお姫』と『隣の脅迫者』(スーザン・フォワード) - 大和彩ブログ

毒母とカモ - 大和彩ブログ

悪夢と毒母と追跡魚雷 - 大和彩ブログ

『プレシャス』 - 大和彩ブログ