貧乏、挫折も経験した私が『ロッキー』に学ぶ「人生で本当に大切なこと」
●『ロッキー』を見ました
主治医に作業療法的になにか書くよう薦められたので『ロッキー』をDVDで見たことを書こうと思った。旧作、2泊3日のレンタルは100円。今どきDVDを見る人も少ないでしょ?近所にTSUTAYAがあって本当によかったなあ。
ちょっと世代的にズレているせいもあるけれど、私は『ロッキー』シリーズを一作として見たことがなかった。
若かりしころはアート系の映画ばかり見た。私は根暗で屈折しているので、スポ根や努力の末のハッピーエンド的ストーリーが苦手なのだ。
『ロッキー』はマッチョ男性がボクシングでがんばった末に栄光を手する熱血な映画なのかとずっと思っていて、私には感情移入できる余地がなさそうだと思っていた。
そんなイメージだけのアンチ『ロッキー』だった私がなぜそれをレンタルしたかというと、筋トレのモチベーションにしたかったからだ。
●筋トレしてるの?
さて、ここまで読んでくださったあなたは、こう思うかもしれない。
「は?筋トレ?根暗でスポ根嫌いなのに、筋トレするの?」
さらに、こうも思うかもしれない。
「あんた、一体なにを目指してるんや?」
しかしそれを簡潔にうまく説明する自信もないので、ここでは『ロッキー』の感想だけ書く。
●想像していたのとは全然ちがった『ロッキー』
見てみて反省したのだが、『ロッキー』は「マッチョ男性がボクシングでがんばった末に栄光を手する熱血な映画」ではなかった。
『ロッキー』でまず驚いたのは、主演のシルベスター・スタローンが脚本も書いていることだ。スタローンはただのマッチョ男性じゃなく、繊細なインテリ男性だったのだ!
私が見たのは公開25周年(年数うろ覚え)記念エディションでスタローンのインタビューも収録されていた。
インタビューによると、制作の際、スタローンは映画会社から何度要求されても、権利を売り渡さなかったそうだ。当時無名だったスタローンが主演できたのはそのおかげだった。
映画会社は有名俳優を主演させたいから権利を買いたがった。そのころスタローンはとても貧乏で、飼い犬を手放さないといけないどうかの瀬戸際にあり、提示される値段がどんどんつり上がっていくのを見て心が揺れたそうだ。
だけど、スタローンはお金で動くことはなかった。こう考えたそうだ。
「俺は貧乏に暮らすのはとても上手いから生きていくのにそんなにお金は必要ない。だけど、権利を手放して、もし映画がヒットしたら飛び降り自殺しちゃうのかもしれない。だから権利は手放さないでおこう」
人生、お金だけじゃ生きていけないと私も思う。とはいえ 私も貧乏なので、お金があったらいいなと思うことは多々ある。
僭越だけど、作り手としてのスタローンのギリギリに追い詰められた揺れる気持ちが分かる気がする。だからこの言葉には共感したし、「大変だったんだな、偉い人だな」と思った。
●『ロッキー』に学ぶ人生で大切なこと
インタビューによると、スタローンは『ロッキー』にこんなメッセージを込めたそうだ。
「KOはされて倒れたこともあったけど、その都度立ち上がり、正直にまっとうに人生を生きた。何度パンチされても耐え抜いて生き続けた。結局人生最後のときに、そう言えるだけですごいことじゃないか。」
さらにこのメッセージも伝えたかったそうだ。
「人間一人では生きられない。」
そのメッセージのとおり、『ロッキー』は、想像していたよりビタースウィートな結末で終わった。けど人生勝ったか負けたかは重要じゃない。人生で大切なのは、負けても立ち上がること、そしてと周りの人たちを大切にすること。それらが伝わってくる映画だった。
つまりこの映画におけるボクシングは、人生のメタファーとして機能しているのだった。そのことがようやく知れてよかった。
若いころに見ていたら、この映画に込められたメッセージは半分も分からなかっただろうから今見たのがよかったんだと思う。
中年に差し掛かって、これから何をしていけばいいのか分からない人、もしくは挫折してどう立ち直ればいいのか分からない人におすすめしたい映画です。